ヤンゴンの空の下

ダンナのミャンマー赴任でヤンゴンを訪れたツマが、オモローなミャンマー体験を綴っています。

オンナは悟りをひらけない?

先日、東京芸術劇場でおこなわれた
文化人類学の田村克己先生によるミャンマーの歴史・政治・文化」講座に行ってきました。

講座タイトルにあるように、ミャンマーの歴史、政治、文化について
興味深い話をモロモロお聞きできた中で、
強く印象に残った宗教観」のお話を、今回はしようと思います。


前回ちょっと触れたように、
ミャンマー人の約9割は仏教徒
日本とは違う上座部仏教で、輪廻転生を強く信じています。

信じています、というより、根本的な思想です。

「カンマ(kanma)=カルマ(業)」は、前世で何をしたかで決まります
現在、高い地位にいる人、僧侶、お金持ち、支配者(王)などは、
前世で「クードー(kutho)=徳、功徳」を多く積んだので
今の世に良い運を持って生まれてきたのだと考えられるのです。

世界三大仏教遺跡であるバガンには
広大な大地に大小さまざまな寺院や仏塔が3,000以上あり
それはそれは壮大で幻想的な風景なのですが、
それらの仏塔は、古の王や豪族がこぞって建てたもの。

自分が高い徳を持っていることを表明するために
それが可能な状況にいる(お金を持っている)者が次々に建立したことで、
この素晴らしくユニークな風景がつくられたというわけです。

 

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広大な大地に大小3,000以上もの仏塔が点在するバガンの風景。



功徳行為は次の3つに代表されます。
 戒律
 礼拝(=帰依)
 布施(=寄進)


「戒律」は、仏教の五戒である
殺さない、盗まない、不道徳な性行為をしない、
嘘をつかない、酒を飲まない
、を守ること。
ミャンマーの皆さん、けっこうお酒は飲みますけどね。。

「礼拝」は、寺院やパヤーにお参りすること。
こちらは皆さん、熱心にやっています。

「布施」は、お布施をすること。
こちらも積極的にされているのではないでしょうか。

ヤンゴン最大の仏塔シュエダゴォン・パヤーでは、
仏塔の天辺に5,000個以上のダイヤモンドや1,000個以上のルビーなどの宝石がちりばめられています。
その価値は値段をつけるのが不可能だそうですが、これもすべてお布施によってとのこと。

 

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シュエダゴォン・パヤーの黄金仏塔。その天辺には・・・

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数千個ものダイヤやルビーなどがちりばめられている。肉眼では見えないので、写真が展示されている。

 


お布施はお金を差し出すことですが、
ミャンマー人にとっては、サービスの対価ではない。自らのためにする。
非常に利己的行為なのだけど、廻り廻って人のため=利他的行為になるのです。


こうして現世で熱心に功徳を積むのは
悟りをひらき、涅槃に入るため。
涅槃に入れば、仏の世界。
この世には生まれてきません。

来世では人間に生まれ変わらない!というのが
徳を積むための強いモチベーションになっているんですね。


だけれども、実は・・・
女は悟りをひらけない?!


なぜなら、悟りをひらけた最初の人間がお釈迦様。
お釈迦様は、男性。
ゆえに、女は悟りをひらけない。
という考えなのだそうです。

うーん、日本の女性の皆さんどう思いますか?


ちなみにミャンマーの仏教施設では、
女性が近寄れない、触れられないものなどがいくつかあるんです。
有名な観光地であるチャイテイヨーのゴールデンロックでは、
あの黄金の岩に女性は近寄れないんですよ。
宗教において、明確な男女差別が存在します。

カッキー的には、
また地球に、人間に、女性に生まれてきても超OKですけどー。
けど、ゴールデンロックの黄金の岩に触ってみたい!
そのために、功徳を積もうかな~。

・・・って、ちっとも功徳じゃないよね、それ。

 

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チャイテイヨーのゴールデンロック。
落ちそうで落ちないビミョーなバランスのワケは、お釈迦様の毛髪がおさめられているからなのです。
photoは「35歳から始める世界一周」さんよりお借りしました。

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